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1967年・阪神大賞典・キーストンの最期
阪神大賞典を予想する前にこの記事を読んでほちいのね(ФωФ)
ダービー馬キーストンは、デビューから苦楽を共有した主戦騎手、山本と阪神大賞典に臨んだが、レース終盤、キーストンは骨折。山本は落馬で意識を失っていた。
キーストンはだらんと垂れた片足を引きずって、気を失って起き上がれない山本のもとへと歩き出した。
その様子を専門誌の記者が語っている。
ささくれた馬券オヤジどもも、泣きながら涙声で 「キーストーン!歩いたらいか~ん!」「歩くな~!もうええ。もうええ。」と口々に叫んでいた。
職員に「なんとかならんかのぅ、なんとか助けてもらえんじゃろうか」って哀願するオヤジ。「獣医がおるんやろ!助けろや!」と職員の胸倉を掴んで怒鳴るオヤジも、その職員も胸倉掴まれたまま無言でボロボロ泣いて、オヤジもせきを切ったようにワーワー泣きはじめて、二人で泣いていた。
みんな泣いて泣いて、最終レースが終わっても競馬場を去ろうとしなかった。
骨折した脚を引きずりながらコースをもどり、気を失っている相棒を気遣うキーストン。キーストンに鼻面をすり寄せられ、意識を取り戻した山本は、骨折したキーストンを動かさないようしっかりと抱きしめてつぶやくように謝りつづけたという。
そして駆けつけた厩務員に「頼む、早くしてやってくれ、頼む」 と伝え終えたところで、また気を失い医務室へ運ばれた。
山本が何をそんなに急いでいたのかは本人が語らない以上知る由も無いがおそらく、苦痛にあえぐキーストンの安楽殺を指していたと思われる。
医務室で山本が気がついたときはキーストンはすでに息を引き取っていた。 遺体を前にし呆然とする山本。流石の武田師もオーナーもかける言葉がない。 沈黙の中、薬殺を行った獣医が不意につぶやいた。
「(薬を注射すると)たいてい5分ほどで心停止するのですが、この子はこの小さい体で15分ももちました。痛かったろうに声ひとつ出さず、静かに息を引き取りました。 実にあっぱれでした。長いこと獣医をやっててこんなのは初めてです。すごい馬です。本当に大したものです。」
厩務員の一人が言った。
「山本さんのこと、待っとんたんやなぁ。」
山本はキーストンの首にすがりつき、せきを切ったように大声で泣いた。
昭和42年12月の阪神大賞典。キーストンはダービー制覇以来の盟友山本正司騎手を背にターフを疾走していた。5頭立てということもあって、誰もがキーストンの勝利を疑わなかった。それまでの戦績は24戦18勝、2着3回という驚異的なものだった。
四角を回った時、突然、キーストンの馬体がラチ内に沈んだ。騎手の体はターフに叩き付けられた。キーストンも半転。傍らを後続馬が駆け抜けて行く。
キーストンの左前足は完全脱臼。皮一枚で繋がっている状態で、立ち上がろうにも全く用をなさない。彼方では山本騎手が脳震盪をおこして、ピクリとも動かない。騎手の方を向いて首を振りもがいていたキーストンは三本の足でやっと立ち上がると、一歩また一歩と、昏倒した騎手に向かって歩き始めた。
キーストンはやっと倒れている山本騎手の所に辿り着くと、心配げに鼻面を摺り寄せ、二度三度起こして立たせようとする。人々の目に、それはまるで、母馬が起き上がれない子馬を励まして、鼻面で優しく立たせようとしている姿に見えた。
山本騎手は気絶していてキーストンの骨折を知らなかったが、ボンヤリした視野の中で大きな悲しそうな目、すまなさそうにしばたたく馬の目をみた。山本騎手はキーストンのすり寄せてくる鼻面を抱いて「いいよ、いいよ」と撫で、駆けつけた厩務員に手綱を渡すと、また意識を失っていった。
小柄な逃げ馬だったキーストンの話は、馬と騎手の絆を象徴する物語としてあまりにも有名である。
馬は馬の本能で、乗り手の庇護を求めに行っただけである、という論もある。物言わぬ動物のこと。そうかもしれない。その心の奥までははかり知れない。
しかし、山本騎手は一瞬ではあるが、愛する馬の心を感じたと思った。
「馬が合う」という言葉がある。これは一見「馬が乗り手にとって合う」と考えられがちだが、馬は背を通して、乗り手のすべてを見抜くといわれる。
山本騎手は、皐月賞で14着と惨敗。「皐月賞では馬の気持ちに逆らった」と深く反省し、ダービーでは「もうそろそろ行くか」と聞いたら、キーストンが「まだです。まだです」と答えたと、勝利ジョッキーインタビューで答えている。
当時は「そんな馬鹿な」と一笑にふされたが、後に武豊騎乗のサイレンススズカで同じようなことが起こる。サイレンススズカも前足粉砕骨折で無念の最期を遂げたが、鞍上の武豊騎手はサイレンススズカが自分を振り落とさないために、痛みを押して転倒しないように踏みとどまった気配をはっきり感じたと話す。
そして、また、馬と人のドラマが生まれていく。